コンピュータやネットワーク技術はいまやほとんどの会社で何かしらの形で使われていますよね。あまりIT化とは直接関係がなさそうな職種においてもコンピュータやスマホなどのモバイル端末を活用する場面は多いのではないでしょうか。そうなると重要なのが社員のITリテラシー能力です。
この記事では会社が社員のITリテラシー教育を行ううえでどんな点を意識すべきかを解説したいと思います。
1.ITリテラシー教育を導入すべき理由
会社で行う社員教育では様々なテーマが扱われますが、現代社会においてぜひ取り入れるのをおすすめするのはITリテラシー教育です。ITリテラシー教育とは簡単に言えば「コンピュータの操作やセキュリティの基本、情報の取り扱いなどに関する知識を取り入れて活用するスキルを高める教育」のことです。
職場にもよりますが、今は社員各自がパソコンやモバイル端末を1台ずつ使って業務をするのが珍しくありません。しかしすべての社員が同じスキルでコンピュータやネットを使えるわけではありませんし、同じモラルで情報を扱うわけでもありません。社員の能力が違うのは当たり前のことですが、会社としては社員全体の意思統一を図ったりスキルを高めて会社の力を底上げする必要があります。
ITリテラシー教育の重要性
ITリテラシー教育に会社が積極的に取り組むべき理由には以下のような点があげられます。
・新しい技術に対する素養を深められる
職種によっては直接関係がないかもしれませんが、現在はIT技術の革新が非常に速いスピードで進んでいて、AI技術やIoT技術、ブロックチェーン技術などが至る所で活用されています。そうした新しい技術の活用方法によって新たなビジネスチャンスが開けたり業務効率化につながることがありますが、社員がそのようなITスキルの素養を少しでも高めることで企画力アップが図れます。
・セキュリティやモラルの問題に強くなる
会社にとって情報漏洩や評判の下落などは最も恐ろしいリスクです。写真の軽率な行動や業務上過失によるデータ消失などが時々メディアで取り上げられますが、そうしたトラブルを防ぐためには会社は社員一人一人のコンピュータやネットに関する自覚を高めなければいけません。ITリテラシー教育によってIT機器やシステムをどう使うべきかの指導を徹底するならITモラルがアップします。
・時短やコスト削減につながる
最近はネット技術を駆使した業務効率化に取り組んでいる会社が少なくありません。クラウドPBXやクラウドストレージなどのクラウドサービス、チャットツールを使ったオンライン会議など、時間や手間や設備費などを大幅にカットできるIT技術はたくさんあります。それらを取り入れて社員に慣れさせるなら会社の無駄を少なくすることができます。
2.ITリテラシー教育の導入方法
社員のITリテラシースキルを底上げするためには、まず企業がITリテラシー教育を行うタイミングや導入する方法、内容などを考える必要があります。通常業務の時間も考慮しながら意識的にITリテラシー教育を取り入れるためのポイントをいくつか解説したいと思います。
・ITリテラシー教育の対象者やタイミング
ITリテラシー教育を行うタイミングですが、まずは新人研修の時期に行うのが良いでしょう。新人研修では社員たちがまだ「色がついていない状態」なので、新しいことをいろいろと受け入れやすいからです。新人の中でも既にITリテラシーの高い方もいるかもしれませんが、コンピュータやネットに慣れているからこそITモラルやセキュリティなどでリスクが高くなる恐れもあります。
ですから会社の目標や歴史、仕事内容や会社設備などについて説明するだけでなく、ITリテラシーに関するカリキュラムも一定時間取り入れると良いでしょう。
既存の社員に関してもITリテラシーの勉強会を定期的に開けます。年齢層が高い従業員の場合はネット技術やコンピュータ操作になれていない可能性があるので、基本的な知識や応用力を身に着けられるようにカリキュラムを組んであげると良いでしょう。
・ITリテラシー教育の内容
ITリテラシー教育と一口に言っても扱うべきポイントはたくさんあります。全社員に教育すると良いテーマと必要に応じて対象者を絞って行うと良い教育の例をあげてみましょう。
基礎的な教育
- インターネットの仕組み
- コンピュータや周辺機器の操作
- セキュリティリスクとリスク回避方法
- ネットワーク上のマナー
- ワードやエクセル、アクセス、パワーポイントなどの基本ソフトウェアの操作方法
専門的な教育
- プログラミング
- 最先端ITの活用(AIやIoTやビッグデータ)
ITリテラシー教育を外部企業に委託するのもあり
もし企業内にITリテラシーに詳しい人材や部署がない場合は、外部のITリテラシー教育機関に協力を要請することもできます。IT専門スクールの中には、新人社員向けIT研修や既存社員向けIT研修などを短期間で習得するためのカリキュラムを提供しているところがあります。
スクールに通って研修を受けることもできれば講師を企業に派遣してもらうタイプの研修もあるので、必要に応じて各企業がプロのITリテラシー教育システムを考えると良いでしょう。
現在日本では2015年に決定した「日本再興戦略改定」に基づいてIT人材力の強化に力を入れ始めています。これにはすべてのビジネスパーソンを対象としたITリテラシーの習得機会の拡充や、各都道府県への「生産性向上人材育成支援センター」の設置、夜間講座の増設や完全e-ラーニング講座の新設などが含まれます。
今後国全体がITリテラシースキルアップを目指す風潮が高まることが予測されますが、それに先駆けて会社が独自でもITリテラシーの底上げを目指した社員教育を導入することが大事です。
3 .まとめ
ITリテラシー教育の重要性は今後一層高まっていくことが予想されます。職種によってコンピュータやネットの導入具合には差がありますが、社会全体がITを強く意識している昨今にあってITリテラシーの習得をするに越したことはありません。ですから新人研修や既存社員を対象とした勉強会などを活用して積極的にITリテラシーアップを図り、企業力の底上げにつなげていきましょう。