現在の日本の会社のITリテラシーはあまり高くないと言われています。ITリテラシーが低いと生産性が下がったり情報漏洩などの深刻な問題が起きたりとリスクが増えてしまいます。そこで、この記事では会社のITリテラシーを高めるためにどんな取り組みができるかを紹介したいと思います。

1.会社の低いITリテラシーを高める方法

会社の低いITリテラシーを高める方法

社員のITリテラシーを高めるためには社員の意識を変えることと、実践的な知識を吸収してもらうことが大事です。知識だけでモラルがなければ炎上リスクは避けられませんし、モラルが良くても知識がなければ会社の生産性は高まりません。ですから、両方の分野で社員の意識を高める必要があります。

では、具体的にどんなことができるか見てみましょう。

ITリテラシーを高める方法1:社員研修

まずは社員研修を定期的かつ積極的に行いましょう。以下のようなタイミングで研修を行うと効果的です。

  • 新人研修(入社直後)
  • OA機器などを変えたとき
  • 新規プロジェクトが始まる前
  • 年度初め
  • 情報漏洩などのネットワーク問題がメディアで取り上げられた時

思いついた時に行うのではなく定期的に行いましょう。特に新しい機器や端末、ツールやソフトウェアなどを使う時は専門的な操作方法も含めて関係する社員を訓練する必要があります。また、メディアでネットワーク関連の問題が取り上げられている時にタイムリーにセキュリティの重要性を取り上げることで社員の意識を刺激できます。

社員研修では以下のようなテーマを取り上げることができます。

  • インターネットのしくみ
  • コンピュータやデータベースの仕組みと操作方法
  • 業務効率化に役立つソフトの操作方法(ワード、エクセル、会計ソフトなど)
  • クラウドツールの使い方
  • ネット上のマナー
  • プログラミング
  • プライベートと会社設備の境界線

ITリテラシーを高める方法2:炎上事件や情報漏洩問題について話す

1番目の点でも触れましたが、危機意識がないと社員はネットワーク上で軽率な動きをしてしまう恐れがあります。他の会社で起きた炎上事件や情報漏洩問題について逐一取り上げることで、社員にリスク回避の対策を事前に行えます。

どの会社でどのような情報漏洩問題があったか、どんな情報を発信して炎上してしまったか、どれくらいの損害賠償が発生して会社の評判はどうなったか、など具体的な事例を取り上げると良いでしょう。個人の社員が不用意な行動をして会社に損害が発生した場合は、個人的な損害賠償も起こり得るということを強調するなら、危機意識が高まるはずです。

ITリテラシーを高める方法3:他の団体のITリテラシープログラムを活用する

社内で研修をすることもできますが、もし社内にITリテラシーに通じている社員がいないのなら外部から講師を呼び寄せたり、逆に社員を通学させることができます。普段の業務で忙しくて予定を組むのは難しいかもしれませんが、長い目で見れば社員のスキルアップは今後の会社の福祉に関係するので積極的に利用すると良いでしょう。

企業向けのITスクールの中にはIT研修や人材育成の相談を無料で行っているところもあります。まずは、どのような研修や通学が理想的か相談してみると良いでしょう。

ITリテラシーを高める方法4:管理者権限を徹底する

これは社員自体の意識を高めるというよりは、会社全体のセキュリティレベルを上げるための方法ですが、特定の情報にアクセスできる社員を限定することで情報漏洩リスクを低くできます。情報漏洩問題は外部からの不正アクセスからも起きますが、内部不正によるものもたくさんあります。

「独立行政法人 情報処理推進機構」が2016年3月に公表した「情報セキュリティ 10大脅威 2016」では、「内部不正による情報漏えいとそれに伴う業務停止」が前年に続いて2位の脅威事項としてランクインしました(1位は標的型攻撃)。日本企業は性善説(せいぜんせつと読み人は基本的に善であるという意味)で動いている節があるといわれることがありますが、ある程度会社側で監視体制を強化しなければいけません。

ルールを破って勝手にデータを持ち出したり、ソフトウェアをダウンロードした社員への罰則規定を設けても良いでしょう。ルールとペナルティがはっきりしている方が社員の意識は高まります。「社員は家族」という感覚を持っていると監視とかペナルティいう言葉がひっかかるかもしれませんが、会社全体が不利益を被らないようにするには必要な措置です。

ITリテラシーを高める方法5:資格取得の奨励

ITリテラシー関連の資格、例えば「ITパスポート」などの資格取得を推奨するのも良い手です。資格を取得すれば現在の業務や将来のプロジェクトに役に立つという点を強調するとモチベーションを高められます。また、資格取得者には給与アップなどの特典が発生する可能性があるという点にも触れると、資格取得により前向きになってくれるでしょう。

2.まとめ

会社の現在のITリテラシーレベルが低すぎるという場合は、それを高めるための具体的な手段を講じる必要があります。冒頭で述べたようにITリテラシーレベルをアップするには単に、パソコンやスマホが使えるだけでは不十分です。セキュリティへの意識やモラルが伴っていなければ会社にとって大損害となる事態が引き起こされるかもしれません。

むしろ下手に知識だけある方が、SNSやWebサイトなどでの炎上事件や情報漏洩問題を引き起こす恐れがあります。そのため会社側はモラルやセキュリティを意識して、社員全体のITリテラシーレベルをあげる対策を取るようにしましょう。5つのポイントを紹介しましたが、できることから少しずつ実践してみてください。