「日本のITリテラシーレベルは総じて低い」と言われていますが、年代別ではどのような現状が見られるでしょうか。この記事では年代別のITリテラシーレベルの状況をご紹介したいと思います。

1.年代別のITリテラシー状況を解説!

年代別のITリテラシー状況を解説!

もし「ITに一番強い年代はどれか?」という質問をしたら、「やはり若者がネットに詳しい」と回答する人はたくさんいることでしょう。確かに、インターネットをより多く使っているのは高齢者層よりも若年者層の世代です。

総務省の「通信利用動向調査」によると、13歳から39歳という比較的若い年代層はほとんどがインターネットを使っていますが、50歳以降から80歳以上の世代にかけての利用率は右肩下がりになっています。70代では約半数、80歳以上ではわずか2割ちょっとしかインターネットを利用していません。

この結果を見ると、ITリテラシーが高いのは若者世代に思えるかもしれません。しかし、ITリテラシーは単なるネット活用スキルやコンピュータ操作スキルだけを指すのではありません。モラルやマナー、セキュリティ意識なども含む幅広い意味を持つ言葉です。

もしネット上で軽率な情報を発信して世間の批判を浴びたり、特定の個人や会社の評判を傷つけるような使い方をしているのであれば、そのユーザーのITリテラシーは低いと言わざるを得ません。そのユーザーはネットを使って情報を発信する方法は知ってはいても「正しく建設的な情報発信が出来る人間ではありません。

最近はニュースなどでよくSNSや動画サイトでの「炎上」や「炎上商法」が話題になることがありますが、若者がそういった騒動を起こす事例が多いです。それを考えると、モラルにおけるITリテラシーレベルは決して若者層が上であるとは言えません。

IT問題解決能力は若者と高齢者で大差ない?

「経済協力開発機構(OECD)」が実施した「国際成人力調査」によると、OECD諸国の中で日本の「ITを活用した問題解決能力」は平均レベルでした。この結果を年代別で示したデータがありますが、これによると16歳から24歳の若年層と、60歳から65歳のシニア層にあって、日本の平均点はOECD諸国の平均点よりもわずかに上回るあるいは下回っています。

シニア層は現在のようにパソコンやインターネットがそこまで普及していない時代で活躍してきたことを考えると、検討していると言えますが、生まれたころからパソコンや携帯があった若者世代のIT活用能力がそれほど高くないのは意外な点です。若者の中にはスマホには詳しくてもパソコンには詳しくないという人も少なくないようです。

「若者=ネット世代」というイメージは間違いではありませんが、偏ったネットやIT知識だけではITリテラシーが高い人にはなれません。ですから会社の社員教育では若者であれ中年であれシニア層であれ、すべての年代の社員を対象にITリテラシーへの意識を高めてもらう必要があるでしょう。

中年世代は情報セキュリティに強い

「NPO日本ネットワークセキュリティ協会」が運営している「情報セキュリティ理解度チェック」というサイトでは、会社などの組織の管理者が社員や職員の一人一人の情報セキュリティに関する理解度をチェックできるサービスを提供しています。

このサイトがまとめた年代別平均点点数分布分析によると、30代~40代の平均点数が最も高いことが分かりました。このあたりの世代は会社の中でも指導の立場に立つ人が多く、その分セキュリティへの意識や関心が高い傾向にあると推測できます。情報漏洩の怖さを見聞きして後進の指導のためにいろいろ学習している世代とも思われ、それも平均点の高さにつながっていると思われます。

同じ調査では20代や20歳未満の平均点が30代~40代の平均よりも低い結果になりましたが、まだ社会経験が浅いせいか、情報セキュリティ分野についてはそれほど実力がついていないようです。

2.まとめ

ITリテラシーは単純なネットサーフィンの習慣やスマホの操作スキルだけを意味するのではありません。セキュリティやモラルなど幅広いネット及びIT機器に関する見識やスキルを示すものです。そのため、一見若者がITリテラシーレベルが高いように見えても、実際にはそうではありません。逆に中高年のレベルが低いわけでもありません。

会社には若者も中高年も在籍していますが、これらの点を考えるとITリテラシー教育は全社員を対象にすべきであると言えます。若者にはパソコンの操作やネットモラルに関して教え、中高年層には電子端末の操作方法やSNSなどのツールについて知ってもらうといった工夫が必要です。社員の年代にあったアプローチをすることで、会社全体でITリテラシーレベルアップを目指しましょう。