インターネットは現在世界中に普及していて、文字や画像や動画などの情報をだれとでも簡単に共有できるようになっています。しかしその反面ネットを使った犯罪やトラブルなどがたくさん起きていて、個人だけでなく会社が大きな被害を受けることもしばしばです。そのためITリテラシーが低い会社はそれを高めるための努力をしなければいけません。
この記事ではITリテラシーが低い会社にはどのようなリスクがあるのかを事例を交えて解説したいと思います。
1.ITリテラシーが低い場合のリスクとは?
ITリテラシーのリスクについて触れる前に簡単にITリテラシーの定義について説明しておきましょう。ITリテラシーとは以下のような要素によって成り立っています。
・情報基礎リテラシー
その名の通り情報を正しく扱うリテラシー(見識)のことで、手に入る情報を正しく取捨選択して活用するスキルのことです。ネット社会には間違った情報や悪意のある情報が含まれているのですべての情報をうのみにはできません。そこで情報選択能力や活用力が求められます。
・コンピュータリテラシー
これはコンピュータなどの情報機器を正しくスムーズに操作できる能力を指します。パソコンやプリンターなどの周辺機器、スマホやタブレットなどのモバイル端末の使用方法を理解してかつ効率的に扱えるスキルです。今はどこの会社もたいていパソコンなどのOA機器を使用していますが、従業員が操作方法に慣れていればそれだけ業務のスピードが上がります。
・ネットワークリテラシー
これはセキュリティを含むネットワーク全般の知識やスキルを指します。セキュリティはネット社会の現代にあって最重要項目の一つです。特に様々なデータを扱うとともに信用性が高く求められる会社にあってはセキュリティは命です。
ITリテラシーが低い場合のリスク
上で紹介したようなITリテラシーがないと以下のようなリスクが高くなります。
・情報漏洩
自宅のコンピュータがウイルスに感染したとか怪しいメールを受け取ったという経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。大した被害はなかったという人もいれば大きな被害が出た人もいるかもしれません。自宅のパソコンやスマホであればまだしも、会社のパソコンとなると少しのリスクも見逃せません。特にクライアントの個人情報や会社の経営情報などを多く扱っているならなおさらです。
情報漏洩という言葉はしばしばメディアで取り上げられていて、実際に情報漏洩が外部からの不正アクセスや内部の人間の業務上過失などで起きてしまった例も少なくありません。漏洩した情報の多さに関係なくそのような事態が起きると会社への信頼は失われます。そうなれば新規顧客の開拓や既存の顧客のつなぎ止めも苦しくなってしまいます。
・「炎上」リスク
芸能人などが発信した情報が世間の批判を浴びて集中砲火を受けることを「炎上した」ということがありますが、会社が不用意な情報発信をするなどして炎上してしまう可能性もあります。情報漏洩の場合と同様これは会社の評判を下げてしまう要因になります。
・業務の生産性低下
上記のコンピュータリテラシーのレベルが低ければ従業員の作業効率は落ちてしまいます。例えば社員がマウスやキーボードを動かせたとしても、クラウドサービスの使い方やキーボードのショートカット機能、業務で使うソフトウェアの操作にうとければ作業スピードはどうしても落ちます。他の社員にいちいち確認するようなら周りも影響を受けかねません。
・会社の設備のリスクを上げる
「経験がない人はすべてを信じる」という言葉がありますが、この言葉の通りIT知識がない人はネット上にある情報をうのみにする恐れがあります。そうすると会社のパソコンに勝手にいろいろなソフトをダウンロードしたり怪しいメールにアクセスしたりなど正しい情報の取捨選択をしない可能性があります。そうなればマルウェアが会社のPCや携帯などに悪影響を及ぼすリスクがあがってしまいます。
2.ITリテラシーが低いことで起きたトラブル事例
では実際のITリテラシーが低かったために起きたトラブルの事例を見てみましょう。
・コンビニ炎上問題
某コンビニチェーンで起きた事例ですが、2013年にあるコンビニの従業員が冷凍庫に横たわる写真を撮影してSNS上にアップしました。その後写真は拡散して「不衛生だ」という批判が相次いで寄せられました。その結果そのコンビニ店舗は休業を余儀なくされ従業員は解雇されましたが、従業員の名前や住所が特定されたので個人的な中傷も起きてしまいました。
別のコンビニチェーンでも同様の事例が起きました。やはり陳列棚に従業員が入り込んで写真を撮影&SNSにアップして炎上しました。その後コンビニ本社の対応が甘いと反発したユーザーが再炎上を起こし警察に被害届が出される状況にまで発展しました。このような事例がコンビニ会社に余計な手間や負担をかけたのは明白で、評判も傷つけてしまう結果になりました。
・情報漏洩事件
ファイル送信サービスを行うある事業者では不正アクセスを受けて約480万件の顧客情報が流出してしまいました。クレカ情報などはもれなかったものの、メールアドレスや氏名やパスワードが漏れてしまい、それらの情報を使った二次被害が心配されています。
ある電機メーカーはクラッカー集団のサイバー攻撃を受けて7,700万件以上の顧客情報が漏洩してしまいました。コンピュータシステムが脆弱だったために起きた事件でしたが、この事件による被害は2兆円以上にもなると報道されかつイメージダウンも危惧されています。
・ウイルス感染
ある資源エネルギー企業の従業員はおかしな挙動をする端末があったのでウイルスチェックをしたところ膨大な数のウイルスが潜んでいました。原因は他の企業の社員や派遣社員が持ち込んだUSBメモリが原因でした。ネットではなくオフラインの媒体を通してもこのような事例があることを考えると、ITリテラシーが低ければネット上の悪意のある簡単に情報にさらされてしまうでしょう。
3 .まとめ
ITリテラシーはコンピュータ操作や情報活用能力、セキュリティ面を含むネットワーク知識など様々な要素から成っています。これらのスキルを総合的にあげないと、会社の生産性が低くなるだけでなく大切なデータが流出したり会社の評判が悪くなることもあります。
もちろん社員すべてのモラルを一様にあげることは難しいですし、アルバイトなど会社への帰属意識が高くない従業員もしっかり教育するのは簡単ではありません。しかしIT社会において今後ITリテラシーの重要性はますます高くなるはずなので、従業員への積極的なオリエンテーションは欠かせません。