ネットやコンピュータ技術などが社会にますます普及していく中で、ITリテラシーレベルの底上げを急務に感じている会社は少なくないでしょう。日本はテクノロジー分野で世界にひけを取ってはいませんが、ITリテラシーに関しては意外な現状があります。この記事ではITリテラシーに関する様々な調査結果を紹介して、会社が取り組むべき課題について解説したいと思います。
1.ITリテラシーの意外な調査結果とは
ITリテラシーに関する意外な調査結果を2つほど取り上げましょう。
・若者より中年層の方がITリテラシーが強い
会社には若者や中年など様々な世代の人間が働いていますが、ITリテラシーが強いのはどの世代かと言われると「若者世代」というイメージがありますよね。しかし「BIZSTEP調査レポート」によると、若手社員と部長職とでITリテラシーを身に着けているのは実は、部長職だという結果が出ました。
同調査における営業部長と20~30代営業社員の正答率は、前者が61.1%で後者が55.2%でした。その差は5.9ポイント開いています。営業部長ともなると40代ないしは50代くらいの世代の人間になると思われますが、実はIT分野に強いというイメージがある若者がITリテラシーにうとく、弱いと思われている中年世代が強かったのは意外ですよね。
・データを扱う能力で日本は低レベル
調査会社の「Censuswide」が日本とインド、オーストラリア、シンガポール、中国のアジア太平洋地域5か国のビジネスパーソンを対象にしてデータリテラシーアンケートを実施したところ、「データリテラシーに自信がある」と回答した日本社員は参加国中最も低い6%という結果でした。
同調査ではデータ活用にストレスを抵抗を感じている日本人社員は7割にものぼる上に、「データリテラシーが高いほど職場における信頼性が向上すると考えている」と回答したのは42%しかいませんでした。つまり、データ活用の重要性がまだ十分に認知されていないということです。ビッグデータやネットによる様々なデータへのアクセスが今後飛躍すると推測されるのでこれは問題点です。
2.会社がITリテラシーアップで取り組むべき課題とは
日本全体のITリテラシーの低さや若者世代の不十分なITリテラシーレベルについて考えると、会社が現在のグローバルなIT社会で生き残るためには独自の取り組みが必要と言えます。炎上事件や情報漏洩など大損害を起しかねないリスクを避けてITをビジネスに活用するには、以下のような取り組みに力を入れると良いでしょう。
・IT研修
新人はもちろん、既存社員も対象にIT知識やスキルをあげるためのオリエンテーションを行う必要があります。新人教育で会社のコンセプトや施設案内などをするのも良いですが、今はどこの会社もITを使った情報のやりとりをしている以上、作業の効率をアップするためにIT関連のレクチャーを定期的に行う事も大事です。
・情報共有ツールを積極的に取り入れる
会社の会議室に人を集めて会議するという会社は非常に多いと思いますが、最近では社内SNSやグループウェア、ビジネスチャットなどと呼ばれるツールが人気になっていて、パソコンやスマホなどの端末で簡単に情報共有ができるようになっています。こうしたツールを取り入れて社員がデジタルツールの取り扱いに慣れるようにすれば、ネット技術やコンピュータへの「慣れ」を推進できるでしょう。
これらの情報共有ツールを使うことで時間短縮につながったり、会社の扱う情報をコンパクトにまとめたりできるなどメリットもいろいろと生まれます。ネットスキルを高めてツールを積極的に導入することで在宅ワークの推進を行うこともできます。最近は育休や産休などに関するコンプライアンスがよく話題になりますが、ITリテラシーレベルをアップすることはそれらの問題の解決策の一つになり得ます。
・ITリテラシー関連資格の取得を推進する
ITリテラシーのレベルを示す色々な資格や検定試験がありますが、会社が社員のそれらの資格の取得をプロモーションするのも良いことです。資格取得者には何かしらの優遇を与えるなどしてモチベーションをあげることで、資格取得に前向きになる社員も増えてくるでしょう。そのことは社員のITスキルを高めることにもつながります。
・セキュリティやモラルの徹底
情報漏洩は外部からの悪意のあるアクセスだけでなく、内部の人間のうっかりミスから発生することもあります。また、SNSマーケティングやWebマーケティングを導入している企業であれば、社員の軽率な情報発信が炎上リスクをあげることもあります。そのため、企業は社員の動向を監視することはもちろん、データの重要性やネットモラルの大切さについて社員と意識を共有する必要があります。
実際の事例を交えながら、軽い気持ちで情報発信することで会社はもちろん、個人的にも多額の損害賠償が発生し得ることを強調して、社員の気持ちを引き締めると良いでしょう。
3 .まとめ
ITリテラシーに関する調査は様々にありますが、国家としての日本のITリテラシーレベルはもちろん、会社内のITリテラシーでもレベルの低さを示す結果がいろいろと出ています。IT社会で勝ち残るためにはITリテラシーの底上げはできるだけ早く取り組むべき課題です。ITリテラシー研修などを通してすべての年代と部門の社員を対象にITスキルアップを奨励するようにしましょう。