1.ITリテラシーとはどんなもの?
「ITリテラシー」は情報リテラシーという呼び方もされますが、これはIT(Information Technology)とリテラシー(Literacy)という言葉を合わせた造語です。ITは「情報技術」のことでリテラシーは「識字」という意味ですから、ITリテラシーは「情報技術の活用能力」とか「情報技術応用スキル」といったニュアンスになります。
具体的に言えば、「パソコンやモバイル端末、インターネットなどの情報機器やネットワーク技術を使って、ある目的を達成のために活用するスキル」のことです。会社は今や様々な機器や設備を利用して会社の運営に役立つ情報を得たり発信したりしますが、使えるテクノロジーや機器をいかに効率的に用いることができるかによって業務の達成度は左右されます。
ITリテラシーの具体例
ITリテラシーの具体例をいくつか取り上げてみましょう。
・Webマーケティング
Webマーケティングとは簡単に言えば「インターネットを使って製品やサービスの販促を行うこと」です。例えばSEOやリスティング広告、アフィリエイト、SNSマーケティングなどはどれもWebマーケティングの例と言えます。現在はテレビやラジオやチラシなどの媒体よりもインターネットの方が情報発信力が高くなってきていますが、ネットを使って販促することで効果的な販売戦略を練れます。
・パソコン関連機器やモバイル端末の操作
もっと身近な例でいうと、パソコンやアプリケーションの操作をしたりマウスやキーボードを利用することも広義ではITリテラシーの一環です。これらの機器やソフトウェアの操作は、会社が目標を達成するための重要なオペレーションだからです。キーボード操作やアプリ操作に熟達している社員は仕事量も当然多くなるので、これはITスキルの一つと言っても過言ではありません。
・セキュリティ対策
クラッカーなどによる不正アクセス問題や情報漏洩、サーバダウン、データ消失、マルウェアなどインターネット上では様々なセキュリティトラブルが発生します。一個人が被害に遭う場合にも大きなダメージがありますが、会社単位で被害に遭えばかなりの損害が出る可能性があります。実際情報漏洩などが問題となって大きな損害賠償請求が認められたこともありました。
セキュリティ対策はITリテラシーでは核となる部分です。いかに会社のサービスが魅力的なものでも、簡単に情報が流出してしまうような脆弱なセキュリティの会社では意味がありません。情報漏洩などはうっかりミスで発生することが少なくないため、会社はこの分野のITリテラシーを高めることが非常に重要です。
2.ITリテラシーの基本要素3つと重要性
ITリテラシーは会社の一個人がそれぞれ勝手に高めるべきものではなく、会社全体でスキル向上に取り組むべきテーマです。ITリテラシーは以下の3つの要素によって成り立っていると言われています。
・情報基礎リテラシー
情報を正しく扱うスキルのことで、これには正しく役に立つ安全な情報を探し出して取捨選択する能力や情報を分析するスキル、そして効率的に扱う能力などが含まれます。現代社会では昔よりも膨大な情報を即座に手に入れることができるようになっていますが、すべての情報が正しいわけではなく中には誤った情報や有害な情報も含まれます。
ですから会社の従業員が何かのプロジェクトにかかわっている場合、そのプロジェクトを推進するために情報をいかに素早く的確に入手して利用できるかは大切なポイントです。
・コンピュータリテラシー
コンピュータリテラシーはコンピュータを効率的に操作する能力です。現代社会ではほとんどの会社が何かしらの形でパソコンを事業で使用しているのではないでしょうか。パソコンや周辺機器の基本的な操作を全く知らない従業員とよく知っている従業員とでは業務スキルに大きな差が出ます。
会社として従業員のパソコンスキルの高さを雇用条件の一つとしているところは少なくありません。実際マイクロソフトオフィス系のワードやエクセルなどの操作能力について募集要項で触れている会社は非常に多くあります。専門的な職種ではプログラミングや専門ソフトの操作などさらに高度なコンピュータリテラシーが求められます。
・ネットワークリテラシー
これはセキュリティやネットワーク全般の知識や活用力のことです。先述の通りセキュリティ問題は現代のIT社会にとって緊急を要するテーマになっています。個人情報保護や機密情報保護など、ネット上で意識されるべきデータセキュリティ分野は数多くあります。わずかな気のゆるみやセキュリティ不備が取り返しのつかない情報漏洩をもたらすこともあるので、このリテラシーは重要です。
ITリテラシーを高めるべき理由
ITリテラシーは会社全体で意識して高めるべきですが、それは端的に言えば会社の運営を安定化するために必須だからです。もしITリテラシーが低い社員がいたり、会社全体がITに疎かったりすると以下のような問題が発生する場合があります。
- フィッシング詐欺やアカウント乗っ取りなどのセキュリティ問題
- 「炎上」など会社の評判を落とす情報発信
- 作業遅延
- 情報漏洩
- 技術開発の遅れ
このように会社が生産的な作業をし続けるのを阻害する事態が発生する恐れがあります。そのため会社は社員に対してITリテラシー教育を施したりIT資格の取得をすすめたりなど、ITリテラシーを高める努力をするのが理想的です。近年ITリテラシーに関する学校教育も広まりつつありますが、会社単位での取り組みも課題です。
3 .まとめ
ITリテラシーは情報技術を活用するスキルですが、それにはセキュリティやコンピュータ操作、情報の取捨選択など様々な要素が絡んでいます。情報が氾濫している現代のネット社会において会社全体がITリテラシーへの意識を改革する必要が出てきています。関連する資格やテストなども数多くあるので、一度会社での社員教育の一環として導入するのはいかがでしょうか。